4月に大きな花束をもらって会社を退職してからわずか5ヶ月、あっという間に私の独立開業は幕を閉じました。しかし、感傷に浸っている場合ではありません。まずはお店として使っていた部屋を引き払って、すぐにできる仕事を探さなければなりません。
隠れ家的エステサロンの運営は、ひたすらポスティングをして、ともかくまずはお店に来てもらうことをしていました。しかし、リピーターとなるお客様を増やさないと、けっこう回していくのが厳しい状況でした。
まだ会社の有給を使いながらお店の準備をしていたころ、笑えない笑い話がありました。私は会社で経理をしていたので、自分のお店の準備を始めるとすぐに、会計ソフトを買ったんですね。まだ売上もろくに立っていない頃の話です。
4月終わりにやっと会社を退職して、エステサロンのお店作りに専念できることになりました。お店の説明の時に聞いていた「簡単にお店を出せる」というのは間違いではなく、まず、エステサロンといえども、資格が必要なものではありませんでした。
転職が多かった私が、10年近くもひとつの会社に勤めることは快挙でした。しかし、「自分は何をしたいんだろう?」という問いが、どこからかムクムクと沸き上がってきました。仕事だらけの毎日で、一生懸命やっているわりにあまりよく思われていないし……。
転職が多かった私が、10年近く勤めた会社も、売上が思うように伸びなくなり、状況が変化していきました。私自身は40代半ばになり、「もう給料は頭打ちだな」と感じていました。その一方で、仕事は増えるばかり、人は増やしてもらえない、残業はするな、という多くの会社でみられる理不尽な状況にありました。
私が勤めていた会社は全社員数50名程度でした。組織を作った頃は、社長は「部」を作りたがっていて、たった一人しか所属する人がいなくても、「担当者」ではなく「部」にしようとしていました。しかし、それだと無駄も多かったので、ある時大改革をすることになりました。
中小企業をクライアントに抱える経営コンサル会社で、正社員にしてもらい、最初はコンサルタントについてアシスタント業務をしていました。次第に会社が大きくなってきて、管理部門とコンサルティング部門を分けた時に、私は管理部門に異動となりました。
愛猫ボランティアの方から引き取った2匹の雑種の猫。母は「きょうだいの猫」と聞いていたのですが、猫を運んできた人によると、きょうだいではないとのこと。そのせいなのか、とても「仲がいい」とは思えないような2匹の距離感。
私が社会人になってからしばらくして、ある日わが家に猫が2匹来ました。 母曰く「お父さんは帰りが遅いし、あんたたちも家にいないし、いても部屋にいるし、つまらないから」。 その頃は家族全員社会人だったので、家にいない時間が多いのは仕方なかったのですけれども……。