「過去と未来をつなぐライフヒストリー」と題して、私の半生を辿っています。
書くことや言葉との関わり、転職あれこれを書いていますが、「こんなヘンなところがあるんだ!」というのも面白がっていただければ幸いです。
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ともかくも収入を得るために、また事務職に戻りました。
派遣会社に登録して、最初にお世話になったのはメーカーの会社で、ちょうど年末調整を控えた時期で、しかもマイナンバー制度が施行された年でした。
私がかつて会社員で勤めていた会社は、社員50名ほどの小さい会社だったので、総務も経理も人事も一緒になった「管理部」でしたが、こちらの会社は、社員数300名ほどだったでしょうか。
地方に数ヶ所支店もあり、私にとっては規模の大きい会社でした。
派遣社員をしていて面白いのは、正社員で応募をしたら「おそらく、私は即刻、書類審査で落とされるだろうな」と思うような大きな会社でも、働くチャンスがあることです。
派遣社員になってから、こうした数百人、数千人規模の大きな会社でお世話になる機会が多くありました。
このメーカーさんの後、派遣社員の仕事もいくつか転々とするのですが、改めて世の中に出てみて思うのは、
「世の中にはいい人が、けっこうたくさんいるんだな」
ということでした。
会社員時代は私自身がピリピリしていて、周りにトゲのある空気を発していました。
それは、「今度はどんな仕事をさせられるのか?」「どんな面倒くさいことを言われるのか?」という、初めから疑いの目で見ていて、“防御の姿勢”でいたからでした。
また、小さい会社で事務職は部長以下、すべて女性(といってもパートさん含めて本社でさえ4名ほど)。
なんでも自分たちでやらなければならず、あまり男性の力というものに頼ることがありませんでした。
ところが、派遣社員で行った先の会社さんや軽作業のアルバイト先でさえ、「重いからこれは僕が持ちますよ」とか、「あ、これは(大きくて重いから)○○君に持って行ってもらって」と上の人も言ってくれることが普通にありました。
(経営コンサル会社とメーカーでは扱うものが違うということもあったのだと思います。大事な部品や商品を落として壊したら大変、という事情もあるのでしょう)
そういう環境の変化と併せて、私自身の大きな変化もあったのだと思います。
お店に失敗して変な意地がこそげ落とされたのと、ゼロから教えてもらう立場になり、余計な気を張る必要がなくなったのでしょう。
相変わらず経済的には余裕がない状況でしたが、なんとなく肩の力を抜いて、世の中を見ることができるようになった気がしました。
(つづく)
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