ライフヒストリー

社会人3-突然落ちる本棚と旧式のコピー機におののく

このエントリーをはてなブックマークに追加

「過去と未来をつなぐライフヒストリー」と題して、私の半生を辿っています。

書くことや言葉との関わり、転職あれこれを書いていますが、「こんなヘンなところがあるんだ!」というのも面白がっていただければ幸いです。

  *   *   *

人生初の正社員としての就職。

イランやペルシャ語のご縁で採用していただいたペルシャ絨毯の会社は、当時新宿3丁目、職安通り沿いにありました。

すでに「職業安定所」が「ハローワーク」という名称に変わっていましたが、通りの名前は以前のように「職安」のままでした。

会社はマンションの1階にあり、絨毯の“ショールーム”の部分が8畳か10畳くらいの広さで、その隣に3畳ほどの小さな事務室と流し(キッチン)がありました。

普段はその狭い事務室に、社長と事務員の机が並び、有線放送のBGMを流しつつ(ショールームなので)、ムダ話はほとんどせずに仕事をしていました。

社員ひとりというのも衝撃的でしたが、こちらの会社には、ほかにも衝撃的なものが数々ありました。

私が入社した当初、コピー機が壊れていたため、いちいち近くのコンビニまでコピーをしに行かなければなりませんでした。

壊れていたコピー機も、上の部分が動くもので、その古さに言葉が出なかったのを覚えています。(上が動くコピー機って、どのくらいの世代までおわかりになりますかね?)

事務室では、自分が座っている背後に本棚があるのですが、家庭で使うような木製の本棚で、あまりの本の重さに板がたわんでしまい、時折、ドサッと音がして棚が落ちるのでした。

「……なんか、ずいぶん切り詰めているんだなぁ」

学生気分が抜けていない当時の私は、経営のことなどまったく知らなかったので、そんな印象を受けました。

(イメージ)

時代的にはワープロからパソコンへ移行している時期でしたが、私は自分のワープロを自宅から持って行って使っていました。

社長さん、頭はすごくいいのですが、どうやら機械に弱かったみたいです……。

なので、後に私の方から「パソコンを入れてほしい」とリクエストしました。

もといた事務の方との引継ぎが2週間しかなく焦りました。

社員が1人ということは、ほぼすべてのことをやらなければならず、その中には経理事務も入っていました。

「たった2週間で経理のド素人が引継ぎをするなんて!」

「学生の時に、H野ちゃんが簿記やってたなぁ。あの頃、まったく興味なかったし……」

と後悔しても始まらず、慌ててマンガで読む簿記の本を買って勉強したのでした。

経理だけでなく、何もかもが初めてのことなので大変でした。(扱う社長さんは、もっと大変だったでしょうね……)

この会社、社長がイランの人だけあって、ちょっと普通とは違う体験もさせていただきました。

それは……。

(つづく)

前の記事  社会人2-ペルシャ絨毯販売の会社に就職! でも……

次の記事  社会人4-給料を小切手で渡される

このエントリーをはてなブックマークに追加
コラム