「過去と未来をつなぐライフヒストリー」と題して、私の半生を辿っています。
書くことや言葉との関わり、転職あれこれを書いていますが、「こんなヘンなところがあるんだ!」というのも面白がっていただければ幸いです。
* * *
経営コンサル会社でアシスタントのアルバイトをしながら、パソコンソフトの販売代理店を続けていました。
年末が近くなり、ショールームも盛り上がりを見せている頃、N先輩を通してよくない噂を耳にしました。
(営業さんへの給料が滞っているらしい……)
どういうことなのか、その頃の私はまだピンときていなくて、「ふーん……」という感じでした。(本当にボケボケでした)
さらには、N先輩や私を担当してくれている、あのフランク・ミューラーの時計をしているトップの営業さんが、なんと12月で辞めてしまうということでした。
「どういうこと……?」
戸惑いながらも、N先輩の様子はいつもと変らない感じだったので、何も気にせずそのまま年越しを迎えました。
そして、年明け。
普通なら、前年のように、営業担当から年初の挨拶の連絡が来るはず。
なのに、何も連絡がない。
すると、N先輩から1月5日か6日頃に連絡があり、
「本部の会社が営業停止になった」
とのこと。
本当にそれまで、のほほんと生きてきた私は、経営コンサル会社でアルバイトをしていたにもかかわらず、先輩から聞いた状況を理解していませんでした。
「……どういうこと?」
毎月10日が販売手数料の振込日だったので、1月10日のバイトの昼休みに、ATMに記帳しに行きました。
しかし、その会社から入金がない。
そこで、N先輩に
「入金がないんですけど?」
と電話したら、
「だから、営業停止になったと言ったでしょ?」
と言われました。
「……!?」
そこでやっと事の大きさに気が付いた、という間抜けな話です。
私の場合は入金予定の売上が10万円程度でしたが、N先輩は代理店のトップでしたから、その打撃はかなり大きかったようです。
やっと状況を理解した私は、呆然としてアルバイト先に戻りました。
コンサルタントのお兄さんに、
「販売代理店の本社が営業停止で、売掛金が入っていなかった」
と、簡単に事の経緯を話したら、
「僕だったら回収するように動きますね」
とのこと。
(そ、そうなんだ……汗)
そして、
「こうして与信管理を学んでいくんですよ」
とも言われました。
隣で聞いていたバイト先の社長が、わざわざ帝国データバンクで、その会社の情報を取り寄せてくれようとしました。
しかし、何も情報はありませんでした。その後もしばらく気にして見ていましたが、倒産情報は出てきませんでした。
アルバイトの仕事は、コンサルのアシスタントとして、資金繰り表などの資料を作成するのが主な内容でした。
小さな会社を対象にしていたコンサル会社だったので、ワラにもすがる思いで来る経営者の姿を見たり、ひとつの取引先に頼っていたら、そこが火事にあって売上がいきなり落ちてしまった会社さんの話を聞いたりしてはいたのです。
……が、世間知らずというか、他人事だったというか。
まさか自分が代理店をしている会社が営業停止になるとは、夢にも思っていませんでした。
あとから振り返れば、営業さんへの給料が滞っていたり、トップ営業の人が転職したり、予兆はあったのです。
無知というのは恐ろしいですね。
その後、N先輩とも連絡を取らなくなってしまいました。
逆に、アルバイト先の会社が社員として採用してくれることになりました。
私だけではなく、ちょうどアルバイトを社員へ転換させようと考えていた時期だったようで、ほとんどのアルバイトが社員になりました。
こうして、長くても3年くらいのスパンで繰り返してきた私の転職時代が、終わりを告げることになったのでした。
(つづく)
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