コラム
人生をつくる

複数の天職を楽しむ時代-マルチ・ポテンシャライトという生き方

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「マルチ・ポテンシャライト」とは、さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人を指す言葉で、「自分の好きな複数の分野で活躍することができる才能」を持つ人のこと。

『中途半端で打たれ弱い私が「書いて」人生を切り拓いた方法』(Kindle)で、私自身の転職が多い人生をご紹介していますが、この本『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』に出会って、すぐに「私のことだ!」と思いました。

好奇心が旺盛で、仕事は何度も転職している。
趣味や遊びも、あれこれ気になって手を出してしまう。

もしそんな自分に後ろめたさを感じている人がいたら、ぜひ読んでみて下さい。
それはあなたの素晴らしい特性なのです。

天職をひとつに絞らなくていい

私たちはいつの間にか、「人生における天職はたった1つである」と思っていないでしょうか?

今このコラムを読んでいる瞬間も、「いつになったら、私は天職に出合えるのだろう?」と、考えている人がいるかもしれませんね。

でも、

「あなたの天職はひとつじゃないかもしれないし、ひとつに絞る必要はない」

と言われたら、どんな気分になりますか?

 

2018年に出版されたこの本を、起業仲間のお姉さんから教えてもらった時、何か気になる感じがしました。

数日後、本を手に入れて読んでみたら……

 

わずか最初の数ページで、「これは私のことだ!」と思いました。

本書の帯には「これからは『複数の天職』が見つかる時代だ。」と書いてあります。

今までの時代は、というか、今の今まで、私の頭の中では「天職というのは1つであり、それを見つければ全てOK」のように思っていたふしがあります。

 

私のように昭和までの時代の人間は、中学または高校の3年間の部活動からして、ひとつのことを続けることを良しとしてきました。

途中で辞めてしまうことを、「脱落した」と思ったり、「忍耐がない」「継続する力がない」と判断し、自分をダメな人間だとすら思ってしまいませんでしたか?

仕事も、学業を終えた後、ひとつの会社でずっと働くことが良いことだという風潮がありましたよね。

実際、私の履歴書は転職が多すぎて、「採用する側からしたら真っ先に落とされる履歴書だよな」と思いました。

会社員になって自分が採用する側になった時に、やはり私の上司は転職が多い人は注意して見ていました(当たり前といえば当たり前なんですが)。

しかし、この『マルチ・ポテンシャライト』を読んで、「天職はひとつとは限らない」と言われ、ものすごく納得したのです。

「そうだよね、複数の天職がある人だっているよね」と。

マルチ・ポテンシャライト 4つの働き方

2022年2月に、はじめて自分のKindle(電子書籍)を出版しました。

タイトルは『中途半端で打たれ弱い私が「書いて」人生を切り拓いた方法』。

苦手なことはあるにしても、おおよそどれもまんべんなくできる。

決してどれか1つが突出するのではなく、かといって、絶望的に社会生活の中で何かができないというわけでもない。

それならどこかの会社で、おとなしく事務仕事に明け暮れているかというと、そうではありません。

好奇心や自分の心が求めるままに転職を繰り返し、起業も3度目。

そんな私の半生を辿った本でした。

年齢も50歳を過ぎている私が、普通に就職しようとしたら、やっぱり大変なのは目に見えています。

先にも書いたように、今までの常識だと、私の履歴書は“真っ黒”(転職が多い)で、真っ先に書類選考で落とされるような内容です。

ところが、この『マルチ・ポテンシャライト』によると、「そうにしかできないのだから、仕方がないのだ」と言うのです。

 

世の中には、学業を終えたあとすぐに就職した会社で、人生の半分を過ごす人もいます。

小さいころから夢見ていたスポーツ選手になる人もいます。

その一方で、ある時はその仕事に集中するのだけど、しばらくするとまた違うことに興味が行き、別の仕事に集中する、という人もいます。

1つのことを進めるのではうまくいかず、2つ以上のことを同時に進行している方がちょうどいい、という人もいるのです。

1つのことをずっと追求しいく人がいるように、様々なことをしていくのが性に合っている人もいるのです。

それがマルチ・ポテンシャライトです。

とはいえ、マルチ・ポテンシャライトにも大きくわけて、4つの働き方があると本書では書いています。

ワークモデルその1:グループハグ・アプローチ
 あるひとつの多面的な仕事に就き、その中でいくつもの分野を行き来する

ワークモデルその2:スラッシュ・アプローチ
 パートタイムの仕事やビジネスを掛け持ちし、精力的にその間を飛び回る

ワークモデルその3:アインシュタイン・アプローチ
 安定した「ほどよい仕事」をしながら、情熱を注げる取り組みをほかに持つ

ワークモデルその4:フェニックス・アプローチ
 数ヵ月、数年ごとに業界を移り、興味をひとつずつ掘り下げていく

『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』目次から引用

各ワークモデルの詳細は本書を読んでいただければと思いますが、マルチ・ポテンシャライトの人が、必ずしもどれか1つのタイプに分類されるというわけではありません。

このワークモデルを組み合わせたり、時期によって、さらにワークモデルが変わる人もいるのです。

ご自身にピンとくるワークモデルはありましたか?

私自身は、会社員時代はグループハグ・アプローチで、ひとり起業家になった今はスラッシュ・アプローチの最中なのかな、と思いました。

“複業”をしやすい時代

本書を読み始めた時には、「まさに私の生き方!」と思いましたが、読み終えてみると、「こういう働き方、生き方は、今に始まったことではないのではないか?」と思いました。

ワークモデルその3が、アインシュタイン・アプローチという名前であるように、アインシュタインの時代から、マルチ・ポテンシャライト的な働き方をしている人はいたと考えられます。

アインシュタインほど有名ではないのと、あまり右往左往するのがよろしくないという風潮があるために、表には現れていなかったのかもしれません。

あるいは、“仕事”にはしないで、“趣味”で終わらせていたのかもしれませんね。

平日は会社員をしていて、土日は少年野球のコーチをしている、という人は、一種のマルチ・ポテンシャライトではないでしょうか。(これはまさに、アインシュタイン・アプローチ!)

また、私がそうだったように、小さい規模の会社にいると、ひとりでいくつもの仕事を担当することになります。

私の場合は、管理部で経理業務をメインとしながら、総務、人事の仕事もして、内部統制や請求書発行システムの立ち上げのプロジェクトに関わったり、新しく入ってくる社員のためのパソコンの用意もしていました。

たまたま私は複数の業務を行うことが、どちらかというと好きだったのでしょう。

でも、そうではない人でも、小さい会社や部署に入ると、色々やらされることが多いと思います。

ですから、こうした働き方が最近になって突然出てきたわけではないでしょう。

「マルチ・ポテンシャライト」という名前がつけられ、「そういう働き方があっていいんだよ」という認識されるのが新しいことであり、その上で「自分はどんな働き方を選択するのか?」と選ぶことが今の時代の働き方のようです。

「起業したのに、満足に売上が上がらず恥ずかしい」

「会社員としても不完全燃焼だし、かといって独立するほどでもない。
 いつまでも宙ぶらりんで嫌だな」

「なんでこんなに興味がどんどん変わってしまい、長続きしないんだろう?」

こんな悩みを抱えている方は、一度本書を読んでみてはいかがでしょうか。

『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』(エミリー・ワプニック著、長澤あかね翻訳)

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